【自作台本語り】「想い黄昏。」
想い黄昏。http://huxei03.wix.com/kuroroshion#!/c1swk
『辛い、キツい、恥ずかしい』
このブログを立ち上げた直後、「よし!では、早速語るために台本を読み返してみよう」と己の処女作を読み返してみた時の、偽らざる素直な感想である。
正直、三日坊主にもなれぬままブログ運営を諦めるところだった。
別に、私は、あの作品が憎いわけではない。
なんといっても、可愛い可愛い我が子である。
それに、初めて書いた作品だからこそ、他のどの作品よりも思い入れは強いと言ってもいいかもしれない。
ただなんせ荒削り。
過去の自分にワンツーパンチ願望がものすごい。
……本題に入ろう。
私が台本を書き始めたのは、とある大切な友人がかけてくれた一言がきっかけだった。
それは、私にとって晴天の霹靂ともいうべきものだった。
リスナーとしてでは、演者をしている人たちとの親しくなれる機会にも恵まれず、より深く交流することが難しいとくさくさしていた私に、彼女はこう言い放ったのである。
「くろちゃん、台本書いてみれば? くろちゃん文章書くの上手いし、いけるんじゃない?」
軽率にも、おおおお!!その手があったか!と思った。
別に、私は文章が書くのが特別上手いわけではない。
しかしながら、あえて学校の授業の中でいうならば、国語が断トツで得意だった。かつ、好きだった。
また、私は声フェチだった。さらに、私は乙女ゲーム脳だった。
ここまで来たら、聡い皆様ならもうお分かりだろう。
そう、私は迷うことなく欲望に走った。
「脳内が飴細工で作られた花のお花畑」と評された台本書き、紅絽(くろ)の爆誕である。
とはいえ、この想い黄昏。はそこまで糖度は高くない…ように思う。
なんちゃってビターテイストだ(当社比)。
これは、まだ紅絽の中に理性が残っていた証である。
…というのは2割冗談として。
実際には、私が台本を書くきっかけとなった例の彼女をモデルとした台本だからである。彼女をモデルとする以上、ただ甘いだけの物語を書けるわけがなかったのだ。
登場人物に沙紀という女性がいる。
そのモデルとなったのが、彼女である。
では、九郎は???
そう、私である。紅絽(くろ)である。
誠司は知らん。
どうだ。清々しいまでに安直だろう。
このわかりやすさを、いっそのこと愛してやって欲しい。馬鹿な子ほど可愛いとかのあれだ。
********
九:選ぶのが僕ではダメですか?
沙:あなたは優しいわ。でも、私に必要なのはその優しさじゃないの。九郎さんじゃ、だめなのよ。
九:10年間、貴方だけを好きでした。
(中略)
九:誰より大切にする自信があります。誰より愛している自信もあります。それでも…だめなんですね?
沙:…ええ。
九:謝らないんですね。
沙:ええ、謝らないわ。
九:…ふっ、ははっ!謝らない、か…うん…うん……そんなあなたが好きでしたよ。優しくて、強くて…自分をしっかり持ったあなたが大好きだった…。妹みたいで、大切にしたくて…誰よりも幸せにしたかった。僕が、幸せにしたかった。
沙:九郎さん…。あなた…。
九:でも…僕は…沙紀さんに弱いからなあ…。
沙:九郎さ…
九:幸せになって下さい。
沙:っ…。
九:絶対に、幸せになって下さい。僕が大切にするつもりだった以上に大切にされて、僕が愛していた以上に愛されて、そして幸せになって下さい。でなきゃ、僕が報われないでしょう…?
********
これを書きたかった。
私は、そのモデルとなった彼女のことがとても好きで、好きで、好きで、大好きなのだけれども、自分が一番愛されたいとは思っていない。そんな気持ちを物語に、文章にしてみたかった。
きっかけをくれたのが彼女だからこそ、処女作はこれでしかありえないと思った。
私を一番にしてしまった彼女はきっと自由な蝶々ではなくなり、私が憧れた彼女ではなくなってしまう。だから、私は……。
そういう諦めとふっきり、それでも私は彼女を好きでい続けるという決意表明の意味を持った、いわばラブレター的なサムシング。
…おい、何を言っているんだ私は????
でもまぁ、つまりはそういうことなのである。
好きな人への想いを綴ったラブレターだと思えば、この作品の荒削り何をところも許せ…るわけがない。
今後もこの作品を読み返すたびに
『辛い、キツい、恥ずかしい』
と感じるのだろう。
しかしその一方で、モデルとなった彼女のことを想って胸がチクチクトクンと音を立てるに違いない。